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東京地方裁判所 平成5年(特わ)546号 決定

本籍・住居

山梨県中巨摩郡白根町上今諏訪一六一四番地

無職

金丸信

大正三年九月一七日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、次のとおり決定する。

主文

本件公訴を棄却する。

理由

本件公訴事実の要旨は、

「被告人は、自己の所得税を免れようと企て、

第一  被告人生原正久と共謀の上、雑所得となるべき収入を除外して割引金融債券を購入するなどの方法により、その所得を秘匿した上、昭和六二年分の実際総所得金額が二二三、四一〇、五八九円であったのにかかわらず、昭和六三年三月一四日、山梨県甲府市丸の内一丁目一一番六号所轄甲府税務署において、同税務署長に対し、同六二年分の総所得金額が二九、七九六、五八九円でこれに対する所得税額が四、三四九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一一九、四〇九、九〇〇円と右申告税額との差額一一五、〇六〇、八〇〇円を免れ

第二  雑所得となるべき収入を除外して割引金融債券を購入するなどの方法により、その所得を秘匿した上、昭和六三年分の実際総所得金額が一、〇二七、二〇七、一二七円であったのにかかわらず、平成元年三月一三日、前記甲府税務署において、同税務署長に対し、同六三年分の総所得金額が二八、七八六、一七七円でこれに対する所得税額が四、一五五、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額六〇二、〇五七、二〇〇円と右申告税額との差額五九七、九〇一、三〇〇円を免れ

第三  被告人生原正久と共謀の上、雑所得となるべき収入を除外して割引金融債券を購入するなどの方法により、その所得を秘匿した上、平成元年分の実際総所得金額が六七六、五五六、七七八円であったのにかかわらず、同二年三月一五日、前記甲府税務署において、同税務署長に対し、同元年分の総所得金額が二六、五五六、七七八円でこれに対する所得税額が二、五〇八、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額三二七、二九八、七〇〇円と右申告税額との差額三二四、七九〇、〇〇〇円を免れ

たものである。」

というのであるが、山梨県中巨摩郡白根町長作成の除籍に関する全部事項証明書によると、被告人は平成八年三月二八日山梨県中巨摩郡白根町で死亡したことが明らかであるから、刑事訴訟法三三九条一項四号により本件公訴を棄却する。

(裁判長裁判官 安廣文夫 裁判官 平木正洋 裁判官 阿部浩巳)

平成五年特(わ)第五四六号、同年特(わ)第六八二号

決定

被告人 金丸信

右の者に対する所得税法違反被告事件について、平成八年二月二九日弁護人から公判手続停止の申出があったので、当裁判所は検察官の意見を聴いた上、被告人が糖尿病性神経障害、多発性脳梗塞等のため公判に出頭することができないと認め、刑事訴訟法第三一四条二項により次のとおり決定する。

主文

被告人が公判廷に出頭することができるまで、本件の公訴手続を停止する。

平成八年三月一三日

東京地方裁判所刑事第八部

裁判長裁判官 安廣文夫

裁判官 中里智美

裁判官 平木正洋

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